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ワクチン接種による予防法の確立
→2010年版生物図表 P.161
ワクチンを用いる予防接種の概念は,イギリスのジェンナーによって実証され,確立された(1796年)。当時の予防対象だった天然痘は,1980年にWHOによって世界根絶宣言がなされている。
今でこそ,免疫に関わる主な細胞や分子が明らかになっているが,彼の活躍した18世紀には,接種時にどのような反応が体内で起こっているかはまだ知られていない。そんな時代にあって,ジェンナーは外科医としての経験を通じて,「牛痘を感染させることで,より重症である天然痘を予防できるのではないか」と考えた。
牛痘は,ウシなどの動物がかかるウイルス感染症で,発症すると天然痘に似た発疹が皮ふに現れる。ウシの乳房を介して乳搾りをする人の手に感染するが,その症状は軽く,後遺症が残ることはない。そこで彼は,豚痘や牛痘の患者が出ると,その周りの人達に患者の膿を接種することを試みた。そして,失敗を重ねながら,ついに天然痘を予防することに成功したのである。
ジェンナーによってワクチンの接種が確立される以前には,天然痘を防ぐ手段として病原体そのものを接種する方法がとられていた。しかし,予防のために行った接種によって発病し,死亡する例が多かったことから,安全な予防法が待ち望まれていたのである。

