このページに関するご意見・お問い合わせは, こちら よりご連絡いただきますようお願いいたします。
強酸性の温泉にすむ生物
群馬県の草津温泉にある湯畑源泉です。ここでは毎分4000リットルの温泉がわきだしています。
草津温泉 湯畑
この温泉は硫黄分が溶け込んでいるために,pH2の強い酸性となっています。人間が入る温泉としてはよい湯ですが,生物が生息するにはとても厳しい環境に思えます。ですが,本当に生物はいないのでしょうか。
湯畑のお湯が流れている斜面を見ると,緑色に染まっているのがわかります。 実はこれは,イデユコゴメという藻類なのです。
湯畑のイデユコゴメ
イデユコゴメは,酸性・高温の温泉環境で生息する原始的な単細胞藻類です。 アメリカのイエローストーン国立公園など,世界中の温泉に生息していることが知られています。 海苔や,寒天の原料の天草に近い紅藻類の仲間です。 紅藻類の多くは,フィコエリトリンという赤色の光合成色素(生物図表p185)をもっていますが, イデユコゴメの仲間はこの色素をもたないので,緑色に見えます。
このイデユコゴメに近い仲間で,イタリアの温泉から発見されたシアニディオシゾンという藻類があります(生物図表p199)。 これは,非常に単純な構造の生物で,細胞内に核・ミトコンドリア・葉緑体を1つずつもっています。 培養が容易で扱いやすく,細胞小器官などの研究に適しており,モデル生物のひとつとなっています。
さて,湯畑の温泉水が流れ込んでいる湯川は,強い酸性の川となっています。 多くの生物にとってはこの水は毒になるので,農業用水などに使うことができません。 そこで,石灰を投入することで川の水を中和する事業が行われています。 草津では3か所で石灰の投入を行っており,下流の品木ダムではpH5~6程度になっています。
石灰による中和
by sym on 2011/08/03
